入学式の日、私の左ななめ後ろの席は空席だった。


まあ、そんなん、どーでもいい
んなことよりもっ!


「麻希っ!また一緒のクラスだね。幼稚園から一緒なんて…」


そう、親友すぎる親友と同じクラスなのだ。しかも私の後ろの席。



にっこりと微笑むその子は、佐々木麻希(ささきまき)


すると、ふっと麻希から笑顔が消え



「もう、飽きたよね…。」


「…。」


愛しいサバサバお姉さん系だ。


お姉さんは続けた


「ガキみたいな男子から逃れた高1の今。
 インテリな年上とつき合うためなら私なんでもする。」


「あぁー年上いいよねぇ。」


私が口をはさむと、鋭い目つきで



「お前はっ神谷先輩がいんだろ!」


「うおっコワ!ってか先輩とは何もないすぃー。」


「そんなん時間の問題なんだから。」


「だから、ちがっ────」



──────ガラッ


「遅れてごめんねっ!入学式が始まるわ。体育館に行くから廊下に並んでー。」


若い女教員が廊下に出るよう促す。



「あんたは、彼氏ができること保証済みかー。」


「あぁはいはい!にしても…これから式に向かうというのに、みんなさん、はしゃいでますなあ。」


そう、男女混じってキャピキャピしている。

まあこれから始まる生活、誰もが主人公は自分の恋物語を頭では描いているのだろう。




──────そして、私の恋物語も幕を開ける。