魅惑の果実

桐生さんの手に握られている拳銃を見て、ドキッとした。


まさか、この人撃ったの桐生さん……?


桐生さんが……この人を……う、そ……。


違うよね?


ねぇ、違うよね……?



「こんな小娘一人のために、わざわざあんたが出向くなんてビックリだよ」

「小者が調子に乗るなよ」

「ふざけんな!! 俺のどこが小者なんだよ!!」

「そう直ぐに喚き散らすところも小者らしいな」



小西さんの手が震えている。


今にも私の首は切られてしまいそうだ。



「莉乃」

「…………」



名前を呼ばれ桐生さんの顔を見た。


桐生さんの目が、“心配するな”と言ってくれているみたいだった。



バンッバンッッ____!!



「う……ッ!!」

「うわっっ!?」



小西さんの呻き声がすぐ後ろで聞こえ、背中が重くなった。


重さに耐えられなくて、身体が前のめりになる。


あ、足縛られてるんだった!


転ける!!



「大丈夫か?」



そう思っていたら、桐生さんに抱きとめられた。