魅惑の果実

何処かから車の走る音がする。


顔を横に向けると、車がこっちに向かって走ってきていた。


だんだんと距離が縮まり、ライトの明かりに目を細めた。


眩しいっつの!!


私たちの目の前で黒色のバンが止まった。


中から降りてきたのは厳つい外国人。


映画の悪役とかに出てきそうな悪どい顔をしている。


その外国人と小西さんが何やら話し始めた。


外国人にチラッと見られ、少し後ずさる。


こんな事なら英会話習っておくんだった。


何話してるのかさっぱりわかんない。


小西さんは外国人から紙切れを受け取ると、私の顔をみて不気味に微笑んだ。



「良かったな。 澪じゃなくてお前でもいいそうだ」



え……?


私、今この人に売られた……の?



「やっ!!」



腕の縄を引っ張られ、外国人の胸板にぶつかった。


恐る恐る顔を上げると、無表情の外国人と目が合った。


やだ……やだ……やだっ……!!



バンッ____!!



っ!?


何処かからか大きな音がして思わず身を窄めた。