仕事の事を忘れて、小西さんの事を素敵だなって思う時がある。



「俺の顔に何かついてる?」

「いえ、今日も素敵だなと思ってたんです」



危ない。


つい魅入っちゃってた。



「小西さん、ご一緒に頂きます。 先程はご馳走様でした」



乾杯し、極薄で作ったウィスキーの水割りを一口飲んだ。


美味しくない……。


お酒は特別強いわけじゃないわ、好きじゃないわで何で夜働いてんの?って思う時もあるけど、お金貯めるならこの仕事が手っ取り早いんだよね。



「今日もこの後何方かへ行かれるんですか?」

「あぁ、友達のBARに顔を出す約束をしているんだ」

「そうなんですね。 お仕事もお忙しそうですけど、プライベートもお忙しいんですね。 ちゃんと休まれてますか?」



小西さんとはいつも他愛ない話ばかり。


色恋じゃなくて、こういうお店でただこうして話をしている事が新鮮で、小西さんとの時間は好きだった。


キャバ始めてまだ三ヶ月位だけど、小西さん程上品で優しいお客様なんていないんじゃないかと思う。