「小西様、いらっしゃいませ!!」



食事を終え客と一緒に店に行くと、入った途端黒服が客を席へ案内した。


私は更衣室へ行き、ロングドレスに着替える。


軽く化粧直しを済ませ、客の元へ向かった。



「お待たせしました」



女の子と会話をしていた小西さんに声をかけ、隣に腰かけた。


個室の様な造りになっている為、周りの客の顔はよく見えない。



「そのドレス初めて見るよ。 デザインもいいし凄く似合ってる」

「小西さんの事を考えながら選んだんです」

「それは嬉しいな」

「小西さん、ご馳走様でした」

「あぁ」



女の子は小西さんとグラスをカチンと合わせると、席をたった。


小西さんはみんなでワイワイというよりも、一対一で静かに飲むスタイルを好む為、いつも二人で話をする事が多い。


まだ二十代半ばなのに、実業家でお金も持っている。


顔も良くてスタイルもいいから、女に不自由した事はないと思う。


それなのにこういうお店に飲みに来るのはどうしてだろう?って思っちゃう。


キャバ嬢との疑似恋愛を楽しんでいるのか、それともただの暇潰しなのか……。


でも女の子を口説く様な事もなく、いつも一時間位で帰ってしまうから、単なる暇潰しなのかもしれない。