初めて会った時は感じが悪くて強い人だと思った。


けど会う度に気に掛けてくれるようになって、少しずつ微笑んでくれるようになった。


それは私にしか見せない顔だと気付いたのいつ頃だったかな?


感情をあまり言葉に出してはくれないけど、いつも態度で示してくれた。


言葉をくれない事に不安や不満を持った事はある。


いろんな事があったけど、再会して漸く分かり合えたような気がする。



「政臣、お腹空いてる?」

「いや、俺はいい」



涙を拭ってキッチンに向かった。


政臣と子供なんて不思議な組み合わせ。


だけど、政臣と帝はソックリで、親子だなと思った。


お粥を作って持っていくと、帝は政臣の膝の上に乗ったままテレビを見ていた。



「お粥できたから、ソファーの下に座って」

「ヤダ!」

「もぉーワガママ言わないの。 そのままじゃご飯食べられないでしょ」

「おとぉさんのお膝がいいの!!」



この一瞬で一気にワガママになった気がする。


今日くらい大目に見た方がいいんだろうか……。



「美月がお前の為に作ってくれたんだろう? 食べて早く元気になれ。 そうしたら好きな所に連れて行ってやる」

「本当!?」

「あぁ」



帝は政臣の膝から降りると、スプーンに乗せたお粥をフーフーしながら一生懸命食べ始めた。


そんな帝を愛おしそうな目で見つめる政臣。


私も同じ目をしてるかもしれない。


これからは家族みんなで幸せになろうね。





FIN.