魅惑の果実

どうしよう……どうしよう……。


考えはまとまらないのに、ただ一つハッキリしてる事があった。


好きで好きでどうしようもないって事。



「仕事何時まで?」

「……一時までです」

「それまでここにいろ」

「え?」

「今まで我慢した事吐き出せよ。 一人で抱え込んできたんだろ? ここには俺たちしかいねぇんだから、遠慮はいらねぇよ」



思いがけない大雅さんの優しさに、涙も声も我慢するのを辞めた。


久しぶりに子供のように泣いた。


全て自分で決めた事だから、弱音を吐いちゃいけないと思ってた。


情けなく泣き崩れる事も許されない事だと思ってた。


やっと落ち着いたかと思えば、ここ最近は色んなことが一気に押し寄せてきて、いっぱいいっぱいな私は追い詰められていたのかもしれない。


泣きながら話をする私の背中を美香ちゃんが優しく撫でてくれた。


うん、うん、と大雅さんは聞いてくれた。


私は本当に周りにいる人たちに恵まれて幸せだ。


感謝しかない。