魅惑の果実

警備室へケータイ電話を届け、飲み物を買うため外に出た。


すると出た途端外は社員で賑わっていた。



「なんの騒ぎ?」

「打ち合わせで芸能人が来てるらしくてさ、昼ごろ帰るらしいって情報があってここで待ってんの!」



伶奈が他部署の子に尋ねると、その子は興奮気味に教えてくれた。


ちょいちょい芸能人が訪れる我が社。


それは前から知ってたけど、こうして地下駐車場に社員が集まってるとは知らなかった。


芸能人とか興味ないしな。



「飲み物買ってくる」

「あ、うん。 ここで待ってるね」



伶奈は直ぐそばの自販機に飲み物を買いに行き、私は入り口付近で待った。


それにしても、こんなとこで出待ちしててクレームになったりしないのかな?


私が心配する事じゃないけどさ。


_ガチャ……。


ドアが開き、人がゾロゾロと出てきた。


周りが更に騒がしくなった。


けどそんな事も気にならないくらい、私は目の前を通り過ぎた男性の横顔から目を離せなかった。


男性は急に立ち止まり勢いよく振り返った。


視線がぶつかり合い、お互い絶句。