魅惑の果実

「買う?」



首を横に降る帝を見て、やっぱり我慢させちゃってるなぁと思った。



「お母さんも花火やりたいな。 帝と一緒に」

「ほんと?」

「本当! 明日香も呼んで、一緒に花火しようか?」

「する! 」



子供でも出来る花火をカゴに入れ、急いで買い物を済ませた。


私のお腹も帝のお腹もグーグー煩くてしょうがない。



「ただいまぁ〜」

「まぁ〜」



家に着き、靴を脱いだ帝は洗面室へ直行。


帰ってくると必ず手洗いうがいをしている。


元々そんな習慣はなかったけど、子供に言っている手前、私もしないわけにはいかないので、ちゃんとするようになった。



「ペタペタする時は呼ぶから、着替えてテレビ見てていいよ」

「はぁい!!」



寝室に走っていった帝を見届け、私は買ってきた物を冷蔵庫にしまった。


髪を一つに束ね、エプロンを着用。


さてと!


急いでご飯の支度しますかね。


料理の腕が上がってるかは分かんないけど、毎日してるとスピードはどんどん上がっていく。


知らず知らず要領が掴めてるんだよね、きっと。