帝の小さな手。


この手に初めて触れた時は何とも言えない幸福感に、涙がドバッと溢れた。



「今日何食べたい?」

「はんばーく!! ぼく、パンパンする!!」

「今日も帝の愛情いっぱいだね」

「いっぱい〜」



いつも私のお手伝いをしてくれる帝。


誰に似てこんな良い子になったんだろう。


今思い返せば自分の子供時代が恥ずかしいよ。


スーパーに着いて、先ずは恒例のお菓子コーナーへ。



「今日はこれっ!」



戦隊ものの玩具入りお菓子をカゴに投げ入れる帝。


可愛い顔してるけど、やっぱり男の子だなぁと
思う。


二人でスーパーに来た時は帝の好きなお菓子を一つ買う様にしている。


慣れたスーパーを歩いていると、洋服を引っ張られた。


振り返ると、帝が私の洋服を掴んだまま立ち止まっていた。



「帝?」

「…………」



帝の見詰める先を見て、あぁ……と思った。