魅惑の果実

幸せな時間ってあっという間に終わっちゃう。


クリスマス当日。


見慣れた部屋で目を覚ますと、既に桐生さんの姿はなかった。


昨日の事が夢の様で、何度も左手薬指を確認した。


でもそこには間違いなくキラキラ輝くダイヤモンドが付いた指輪がある。


ヤバイ……顔がにやける。



「おっまったせぇ〜!!」



待ち合わせの駅の改札前に立っていると、明日香が飛び付いてきた。



「今日は一段と元気だね。 昨日そんなに楽しかったの?」

「えへへっ」



明日香の幸せそうな顔を見て、つい顔が緩む。


今度ゆっくり話し聞こう。



「美月さん、お待たせしてすみません」

「あ、ううん、全然待ってないから気にしないで」



相変わらず礼儀正しい健人。


年下なのに、やっぱり明日香より大人に見える。


落ち着いている。



「翔君が寂しがってるだろうから、早く行こぉ〜」

「そうだね」



はしゃぐ明日香の手を取る健人。


二人の後ろ姿を見ているとこっちまで幸せな気分になる。