魅惑の果実

シャンパンの入ったグラスを取ろうとしたら、桐生さんがそのグラスを掴んだ。


ん?



「お子様はノンアルコールにしておくか?」



嫌味たっぷりな顔を見てムカついたけど、瞬時に昨日の事が脳裏をよぎり、文句を言うにも言えなかった。


あれは完璧私が悪い。



「昨日の事は反省してます!! ごめんなさい!!」

「一言足りないようだが?」

「もうしません!!」

「いい子だ」



完璧手のひらで転がされてる〜〜!!


分かっててもキュンキュンしちゃうんだから、私ってばどうしようもない。


やっとグラスを持たせてもらえ、私たちは乾杯した。


シャンパンを飲みながらカットされたフルーツを食べ、海を眺める。


贅沢。


今はその一言につきる。


桐生さんの肩に頭を寄せ、自然と笑みが零れる。


優雅な船上デートを楽しんでいると、少し遠くの方で何かが見えた。


ただの波?


それにしてはなんかちょっと違う感じがした様な……っ!?



「っえ!? 今の何!?」



大きな魚が突然海から出てきたと思ったら、そのまま凄い勢いで海中に戻っていった。



「い、い、今のもしかしてクジラ!?」