魅惑の果実

海に着いて案内されるがままクルーザーに乗り込んだ。


今日は初めての事だらけ。


ジェット機に沖縄にクルーザー。


桐生さんとクリスマスイヴを過ごせるってだけで嬉しかったのに、まさかこんなサプライズを用意してくれてるとは思わなかった。


イヴって雰囲気は全くないけど、ある意味特別な感じがしていいかもって思ってしまう。


あれ?


もしかして……。



「これも私たちだけ?」

「当たり前だろう」



何言ってんだみたいな顔でみられた。


私の方が何言ってんのって言いたいくらいだよ。


私の感覚の方が一般的な筈。


船の上でグラスにシャンパンを注ぐ桐生さんは、凄く様になっていた。


太陽の光でキラキラと光る艶のある黒髪が靡き、思わず手を伸ばしそうになる。



「早く座れ。 お前の事だ、直ぐに転ける羽目になるぞ」

「もう! そんなにぽけ〜っとしてないから!!」



頬を膨らませながら桐生さんの隣に座ると、頭に手を置かれた。



「お前は危なっかしいからな。 俺の手の届くところにいろ」



やっぱり桐生さんは優しい。


今日はずっとドキドキしっぱなしだ。