魅惑の果実

運び込まれた料理はどれも美味しかった。


温野菜に煮込みハンバーグ、それにかぼちゃのポタージュ。



「デザートは?」

「食べたいけどお腹いっぱいです」

「じゃ、デザートはまた今度な」



大雅さんは誰に対してもこうなのか、それとも私が桐生さんの彼女だからこうなのかは分からない。


もしも誰に対してもこうなら、きっと勘違いしてしまうだろう。


女性も男性も、親しくなった様な感覚を覚えそう。


でも実際は違う。


深くは踏み込ませない様な雰囲気もある。


そういうところは桐生さんと良く似てる。



「桐生さんの欲しい物とか好きな物って分かりますか?」

「ん〜……欲しい物は分かんねぇけど、昔から本を読むのは好きだな。 特に古い書物とか?」

「古い書物……どんな内容の物ですか?」

「さぁ? とにかく難しそうな本ばっか」



入った事はないけど、マンションに書斎もある。


書斎の本を見れば、どんな本が好きなのか分かるかもしれない。



「ありがとうございます。 参考にします」

「参考って、桐生にプレゼント?」

「クリスマスプレゼント何にするか悩んでたんです」

「そういう事ね。 まぁ他にも聞きたい事があれば、遠慮なく聞いてよ」