魅惑の果実

次の日、私はまた夜仕事を休んだ。


約束したカフェに着くと、久しぶりに見る顔を見つけ、席まで急いだ。



「ごめん、お待たせ」

「あ、いや、急にごめん」

「全然大丈夫だよ。 あ、すみません、アイスティー一つ下さい」



喉が渇いていたから、私はメニューを見ずに、近くにいた店員さんに注文した。


昨日誠治とメールのやり取りをしていて、直接会って話がしたいと言われて今日会うことになった。


メールの様子がいつもと違う様な気がして心配だったけど、今日会って更に心配になった。


表情も固いし、いつもの爽やかさが全くない。


お父さんともめたのかな?


父親が政治家だととんでもないことをサラッと言われたりして、言われる側としては心労が半端ない。



「今日はサッカー良かったの?」

「後ろ盾があるとはいえ勉強は怠るなってオヤジに言われて、今はサッカー部には顔出してないんだ」

「そうなんだ……」



苦笑いを浮かべる誠治。


自由がない生活。


話を聞くだけで息が詰まりそう。


私も実家に住んでたらもっと酷い待遇だっただろうな。