魅惑の果実

ソファーに寝転がってウトウトしながらテレビを見ていたら、頭をそっと撫でられた。


顔を向けると、ソファーの袖に座っている桐生さんと目が合った。



「起きてたのか」

「……辛うじて」



胸のモヤモヤは大きいけど、トキメキも同じくらい大きい。


この大きな手は、今は私だけのものなのかな……?


直接そんな事を聞いたところで、今の私が納得できる答えはない。


自分に自信がないからこの不安は治らないのかもしれない。



「寝るか?」

「寮に帰んなきゃ……」

「いつもならまだ働いている時間だろう?」



確かにそうだ。


まだ夜中の十二時を回っていない。


いつもならお酒を飲んでいる時間だ。



「っ、ちょっ……!?」



突然抱き抱えられ、慌てて桐生さんの首に腕を回した。


お風呂上がりの火照った身体。


石鹸の香り。


普段の高級そうなスーツに身を包んで、近寄りがたい香りを身に纏っている桐生さんも好きだけど、こうして無防備な香りを漂わせてる桐生さんもやっぱり好き。