魅惑の果実

シャワーを浴び終えリビングに戻ると、桐生さんはノートパソコンを触りながらお酒を飲んでいた。


仕事……。


しょうがないとはいえ、こんな時にまで仕事をしなくても……と、思った。



「忙しいみたいだから、帰るね」



本当は一緒にいたいのに、やっぱり可愛げのない事をつい口走ってしまう。


こんな時可愛く甘えられたらいいのにと何度思ったか分からない。


桐生さんはノートパソコンを閉じると、静かに立ち上がった。


そして私のそばに来ると、そっと頬を撫でた。



「俺もシャワーを浴びてくる」

「私は帰るから、ゆっくりどうっ……んっ……」



突然顎を持ち上げられ強引なキス。


腰に回された手。


その手がなかったら立っていられないくらい、激しく甘いキス。


力なく桐生さんの胸に寄りかかると、ギュッと抱きしめられた。


高揚し疼く身体。



「ここにいろ。 いいな?」

「……うん」



私の頭をポンポンと二回撫でると、桐生さんはシャワーを浴びに行ってしまった。


本当、あの人には敵わない。


分かってはいるものの、それでもワガママを言ってしまうのも、天邪鬼な事をしてしまうのも、どうしようもないくらい好きだから……。