魅惑の果実

お昼の時間を過ぎているからか、レストランはたいして混んでいなかった。



「明日香と健人上手くいってるかな?」

「いってるでしょ。 まめじゃない健人がこまめに連絡取ってるって事は、明日香の事結構気になってるんだと思うよ」

「そうなの? なんかホッとした」



そっか、そっか。


お互いいいなって思ってるんだったら、くっつくのも時間の問題かな。



「美月は政臣さんとどうなの?」

「…………」



「上手くいってるよ」その一言が声にならなかった。


頭を過る桐生さんと咲さんの顔。


何度否定しようと何度も同じ事を繰り返し思う。


二人は凄くお似合いだって……。



「俺で良かったら話し聞くよ?」

「何にもないよー。 相変わらず忙しいみたいでさ、中々会えないからちょっと寂しいだけ」



あははと笑って見せても、翔の顔は真剣なままだった。


無理矢理笑顔を作っているのが馬鹿らしくて、視線を落とした。



「……咲さ……瞳さんって女の人知ってる?」



こんなところまで来て、何聞いちゃってんだろ。


雰囲気悪くするの分かってんのにさ。