魅惑の果実

「美月、準備してこい」

「あ、うん。 そうだね」



そういえばバスローブにどスッピンだった。


こんな恥ずかしい格好で友達に会うなんて……最悪な事だらけ……。


私は京香さんに軽く会釈してリビングを出た。


リビングのドアを閉めて思わず出た溜息。


翔の存在に助けられた感はあるけど、なんだか複雑。


とにかく早く準備しよう。


今日は桐生さんと初めてのお昼デートだもん。


何着ようかな。


スカート?


パンツ?


髪の毛は巻くかな?


お店では巻き髪でいることが多いし、ストレートのままがいいかもしれない。


楽しみでしょうがない。


桐生さんと自然と並べる女性になりたい。


こんなにドキドキ、ワクワクしながら洋服を選んだり、メイクをするのは本当に久しぶり。


綺麗になりたい。


にやける顔を必死に堪えながらいつもよりも丁寧にメイクをした。