魅惑の果実

ってか政臣さんって……私でも名前で呼んだ事ないのに!!



「桐生さんとどういう関係なの!?」

「どういうも何もおじさんだけど……」



え……?


そういえばそんな様な事言ってた様な気がする。


こんなにたくさん人がいるのに、何でよりによって翔のおじさんが桐生さんなわけ?


……世間って狭すぎる。



「最悪だぁー!!」

「なんでよ! 最悪なのは私の方だから!!」

「美月の事狙ってたのに、政臣さんの彼女なんて……」



ソファーに項垂れる翔。


私はこの場でのたうち回りたいくらいモヤモヤしてるよ。



「そんなに好きなら政臣から奪っちゃいなさいよ」

「母さん!! 絶対楽しんでるでしょ!?」

「そんなことないわよぉ〜。 恋はそのくらいの情熱がないとつまんないじゃないの」



この人絶対楽しんでるよ。


あれ?


ってか今……。



「お母さん!? お母さんって言った!?」



翔と京香さんの顔を何往復もして見比べた。


なんちゅー美形親子!!


桐生さんの顔も整ってるし、美形一族なの!?


私ってつくずく凡人なんだな……マジ凹む……。