魅惑の果実

取り敢えず髪の毛を乾かし、脱衣所を出た。


着替える為に部屋に行くには、リビングを通らなきゃならない。


リビングには京香さんが居るだろう。


気まずい。


はぁ……でもこのままじゃいられないし、行くしかない。


ふかぁく深呼吸をして、気合いをいれた。


よし!


行くか!!


リビングに出ると、案の定くつろいでいる京香さんと目が合った。


ニコッと笑みを向けられ、取り敢えず笑い返す。


私ちゃんと笑えてるかな……引きつってるかも……。



「え!? 美月!?」



え?


この声……。



「えっ!? 翔!? は? 何してんの!?」

「それはこっちのセリフだよ!! 美月こそ何してんの!?」

「お前たち知り合いか?」

「え!? ちょっ、待って! ここに住んでる彼氏って政臣さんの事!?」



な、なんで!?


何でここに翔がいんの!?


混乱し過ぎてもうよく分かんない。