魅惑の果実

桐生さんと電話を切った後も、暫くは胸がホカホカしていた。


頑張ってパーティー乗り切って、早く桐生さんのところに帰ろう。


気は進まないが、自分に喝を入れ、用意されたワンピースに着替えた。


うげっ……何これ……。


似合わないー……。


清楚でお嬢様風なワンピースを着てる自分が可笑しくて堪らない。


違和感半端ない。



_コンコンコン。



「はい」



返事をすると、静かにドアが開いた。


顔を覗かせたのは美羽だった。



「お姉ちゃん……おかえり……」



遠慮がちな美羽。


この間のことを気にしているんだろう。


私はもう全くもって気にしてないのに。



「ただいま」



美羽は少し驚いた顔をして、そして嬉しそうに笑った。


素直で良い子。


美羽には何の罪もない。


何も悪いことなんてしていない。


私が勝手に嫌悪していただけ……。



「そのワンピースで行くの?」

「うん。 私には可愛すぎるよね。 嫌だけど、これが用意されてたから我慢するしかないかなって……」

「似合ってるよ! 凄く似合ってる」

「……ありがとう」



人に優しくされると、自分も優しくなれる。


そんな言葉を聞いたことがあるけど、それは本当かもしれない。