魅惑の果実

家族の事となると、どうしてこうも感情を抑えられないんだろう。


子供だからかな?


ううん。


何年時が過ぎようと、変わらない気がする。



「外で涼まない?」

「あ……、うん」



いつの間にか笑顔に戻っていた翔に手を引かれ、私は体育館を後にした。


翔はここでもやっぱり女の子の視線を独り占めしている。


そして私は睨まれる。


原因は恐らく繋がれた手。


自分でも不思議で繋がれた手から目を離せなかった。



「ここに座ろう」



連れてきてくれた場所は、日陰で風通りも良く気持ちが良かった。



「ありがとう」



途中自販機で買ってくれたお茶を受け取り、コンクリートの上にお尻を付けて座った。


背中を後ろの壁にくっつけると、ヒンヤリした。


気持ちいい。


それに、凄く静か。


風の音が騒がしく感じる。


チラッと横目で翔を見ると、壁に寄っ掛かって目を瞑っていた。



「……何も聞かないの?」

「聞いて欲しいの?」

「聞いてほしくない」

「ん……」



短い返事と同時に、翔は口角を上げニッと笑った。