魅惑の果実

「店では変わりないか?」

「お店……?」



咲さんの事が一番に思い浮かんだ。


考えない様にしようと思った矢先に思い出すなんて最悪。


あの時の咲さんの涙の理由を桐生さんは知ってるんだろうか?



「特に変わったことなんてないよ」

「そうか」



咲さんの話題を出すなんて絶対に嫌。


今は私のことだけを考えてよ。


これって嫉妬?


独占欲?


どちらにしても醜い。


私は桐生さんのお腹に顔を埋め、ギュッと洋服を握った。



「どうした」

「どうもしない」

「お前は分かり易いな」

「だったらいちいち聞かないでよ」

「子供だな」

「なっ……!」



体を起こすと、優しく笑う桐生さんと目が合った。


この笑顔ズルい!!


口でも何でも桐生さんには勝てない。



「言いたい事があるなら言え」

「〜っない!!」

「そうか」

「んっ……」



突然塞がれた唇。


キスだけで頭の中が真っ白になる。


甘えてもっと……っとおねだりすると、与えてくれる。