魅惑の果実

____……。


この間の咲さん様子がおかしかったな……。


何かあったのかな?


あったとしても私には関係のない事だろうけどね。



「考え事か」

「え? あーうん、何でもないよ」



今はせっかく桐生さんと一緒にいるんだから、咲さんの事を考えるのはやめよう。


時間が勿体無い。



「あまり考え込むなよ」

「ふふっ、心配してくれてるの?」

「その小さな頭で考えたところで解決しないだろう」

「ちょっと! それ酷くない!?」



本当は嬉しい。


こうやって桐生さんと言い合いできることが、凄く嬉しい。


桐生さんの膝の上に頭をのせ、ソファーにゴロンと横になった。


大好き。


何も言わずに撫でてくれる大きな手。


温かい。



「明日も仕事?」

「あぁ」

「そうなんだ。 日曜日もでしょ?」

「あぁ、そうだな」



本当に忙しい人。


でもこうして二人の時間を作ってくれる。


少しでも一緒にいられるように、鍵もくれた。


言葉じゃなくても行動で示してくれる。


だから安心できる。