魅惑の果実

暫く輩達のノリに付き合っていると、その分お酒も進み気持ち悪くなってきた。



「おい莉乃! 飲みが足りねぇんじゃねぇの?」



ふざけんな!!


十分飲んでるでしょ!!


こういう酒癖の悪い人マジ無理。


桐生さんを見習え。


いくらお酒飲んだって一ミリも変わんないんだから!!



「ちょっとお手洗いに失礼します」



ギャーギャー煩い輩を笑顔で受け流し、素早く席を立った。


あー疲れた。


時計を見るともう一時間が過ぎていた。


桐生さん、もう帰っちゃっただろうな。


私はトイレを済ませ、一度控え室に向かった。


ちょっと休憩してから戻ろう。


水も飲みたいし。


控え室のドアを開けると、珍しく咲さんが椅子に座っていた。


うわ……おとなしく席に戻ればよかった……。



「どうしたんですか……?」



気まずいけど、声をかけないのも不自然かと思い、目を赤く腫らしている咲さんに声をかけた。


すると更に目に涙をため、咲さんは顔を背けた。


やぁめぇてぇぇぇ……お願いだから泣かないでよ……。