魅惑の果実

子供っぽいって思ってるだろうな。


ここでは私と桐生さんはキャストと客。


それも私はただのヘルプ。


グダグダ言える立場じゃない。


分かっていてもこのムカムカは抑えられない。



「これを渡したかっただけだ」

「これ……」



差し出された鍵から目を離せなかった。


だってこれっていつでも行っていいって事だよね?



「本当にいいの……?」

「必要ないのなら……」

「いる!! いるに決まってる!!」



引っ込めようとした手から、鍵を奪うように取った。


まさかマンションの鍵を貰えるとは思ってなかった。


どうしよ……嬉しいっ!!



「もう機嫌が治ったのか。 単純な奴だな」

「いいじゃん! 今幸せなんだからチャチャいれないでよね」



そういうと桐生さんは口元に薄っすらと笑みを浮かべ、水割りを一口飲んだ。



「飲まないのか?」

「あ、頂きます!!」



自分の掌に収まる鍵を見ては頬が緩む。


ここ数日ウジウジ悩んでたのが嘘の様に、今は幸せな気持ちで満たされてる。