魅惑の果実

今日は無性にイライラする。


ふと視線の先に咲さんが映った。


その顔にいつもの笑顔はない。


咲さんの視線の先には瑠璃ちゃんが居た。


怖っ!!


瑠璃ちゃんは気付いていないようで、呑気に笑っている。


何もなきゃいいんだけど……。



「莉乃さん、お願いします」

「あ、はい」



フロアを離れ、VIPルームの前にやってきた。


これはもしかして……もしかするんじゃないの?


ドアが開き、中に座って居たのは桐生さんだった。


付き合い始めた日以来。


ドキドキする。


胸がキュンキュン、バクバク、意味分かんない事になってる。



「座らないのか」

「す、座る!!」



いつもと変わらない態度の桐生さんに、ちょっとだけ不満が募る。


滅多な事がない限り感情を露わにしないのはわかってるけどさ、もう少し態度に出してくれてもいいんじゃないんですかね!?


突っかかりたい気持ちを抑えて、私は椅子に座った。



「その顔は何だ」

「え?」

「お前は本当に顔に出るな」

「咲さんに会いに来たの?」



こんな事を言う筈じゃなかったのに……。


可愛くない女だと思われたかな?


言っておいてマジ後悔。