魅惑の果実

私たちはカフェを出た。


前を歩く明日香と健人はなんとなくいい感じだ。



「実は以前、美月の事を見かけた事があるんだよね」

「え?」

「クラブで見かけた時、何か見たことある子だなって思ってて思い出したんだ。 マンションのロビーに長い時間座ってた子だって」



それって桐生さん待ってた時だよね!?


まさかあれを目撃した人とこうして会うことになるとは……。



「あの時凄く思い詰めた顔してたけど、もう解決したの?」

「私そんな顔してた!?」

「この世の終わりみたいな顔してたよ」



翔に笑われ恥ずかしさが込み上げる。


あの時の私ってば、今思えばメッチャ非常識な事してたよね。


待ち伏せとか、マジストーカーだわ。



「解決したよ。 ってか翔もそのマンションに住んでんの?」



それだったら最悪。


鉢合わせる可能性もあるって事でしょ?


そんなの絶対ヤダ。



「親戚が住んでるから、ちょいちょい遊びに行くんだ。 美月は?」

「私は……彼氏がそのマンションに住んでるから……」



ちょいちょい行ってるってことは会う可能性ありありじゃん。


って言っても、私は付き合い始めて一度しか行ってないけどさ。