魅惑の果実

翔っていったい……。



「ごめんね?」



そう言った翔の顔はさっき迄の人懐っこい顔に戻っていた。



「……二重人格?」

「俺が? あははっ、違うよ!! ハッキリしてるだけ」



ハッキリしてるだけにしては、あれはキツイ。


翔のあの冷やかな目を見た時、桐生さんを思い出した。


あの目を向けられた時の傷付き度合いは半端ない。


ちょっとだけ、あの女の人に同情するよ。



「ってか、知ってる人でしょ? あんな態度とって大丈夫なの?」

「大丈夫、大丈夫。 ああいう媚売ってくる奴は好きじゃないし、清々した」

「媚?」

「そのうち話すよ」



そのうちも何も、今日限りですけど、私たち。


気になるけど、まっ、いっか。



「ドリンク買ってくるけど、何か飲む?」

「じゃあ……チェリーコーク」

「オッケー」



翔の後ろ姿を見て改めて思う。


背が高い。


180は軽く超えてるよね。


それに、顔の作りからしてハーフかクオーターだと思う。


いい男はたくさんいるのに、翔が歩くと女たちが振り返る。


顔やスタイルだけじゃなくて、存在感も凄い人だな。