顔を上げると、桐生さんと視線がぶつかった。


怖いくらい綺麗な顔。


洗練された雰囲気も持ち合わせているから、こういう時多少なりとも物怖じしてしまう。



「ごめんなさい……」

「何故謝るんだ」

「ずっと隠してたから……その、私が高校生だって事……」

「それがお前の仕事だろう?」

「違う!!」



思わず立ち上がって叫んでしまった。


確かに働く為に必要な嘘だし、桐生さんの言ってることは違わないけど、だけど、そうじゃない。


桐生さんに対して仕事だからって計算して接した事なんて一度もない。


違うよ。


私は一人の男性として桐生さんの事を見てた。


キャバ嬢の莉乃じゃなくて、ただの美月として見て欲しかった。


でもよく分かった。


桐生さんが何とも思わず高校生の私と会ってくれたのは、キャバ嬢として見てたから。


嘘も仕事の内だと考えてくれてたから……。



「疲れてるのに押し掛けてごめん。 帰る」



これ以上惨めな思いをしたくない。


もう、これで終わりなんだ……。