魅惑の果実

ホテルを出て来た場所は、映画やドラマに出てきそうな豪華なBARだった。


会員制で、桐生さんと大雅さんはどうやら会員らしい。


誰でも会員になれるわけじゃないんだろうな。


私なんかが普通は入れない場所。


雰囲気にのまれてしまいそう。


ボックス席に案内され、何処に座ろうか悩んでいると、桐生さんに手を取られた。



「お前は隣にいろ」

「……うん」



桐生さんの隣に座り、平然を装った。


内心ばくばく。


好きな人にこういうことを言われるとやっぱり嬉しい。



「な、なんですか?」



私たちの前に座った大雅さんに、ニヤニヤと顔を見られた。


この人ほんとヤダ。


全部見透かされてるみたい。



「美月ちゃんって本当、可愛いなと思って」

「冗談止めて下さい」



どうせただ子供っぽい子としか思ってないくせに。


大雅さんだけじゃない。


桐生さんだってきっとそう。


子供な私の反応を楽しんでるだけ……。


軽くお酒の入った心は凄く不安定。


感情は簡単に揺れ、その度に少しずつダメージを受ける。


でもそれを表に出さない様にするのは慣れてる。


子供の時からそうしてきた。