魅惑の果実

話終えると、明日香はボロボロと涙を零し始めた。


売られなくて、本当に良かった。


明日香の涙を見て更に強くそう思った。



「無事で、良かった……っ、本当にっ、良かったぁ……」

「うん……」



ティッシュを差し出すと、豪快に鼻をかむ明日香。


つい笑ってしまった。



「何笑ってんの!? 誰の所為でこんなに泣いてると思ってんのよー!!」



鼻詰まらせながら一生懸命喋る明日香が可愛くて、笑が止まらなかった。


すると明日香は更にわーわー怒り始めた。



「小西の奴はどうなったの?」

「分かんない。 桐生さんは何も言わないし、私も聞いてないから」

「そっか……ねぇ、桐生さんが美月を助けてくれた事、私も凄く感謝してる。 でもさ、一緒にいて大丈夫なの?」

「……分かんない」



そうだよね。


日本で拳銃持ってる人なんて危ない人以外の何者でもないよね。



「分かんないけど、好きなの。 知らない桐生さんの一面を知っても、その気持ちは変わらなかった」

「それでも私は反対だよ!! 美月にもしもの事があったらっ、私……本当にどうしていいか分かんないっ」



明日香……。