あのケンカ以来、ずっと口を利かないままだった。


けれども、このこう着状態を打破するかのように、佐鳴に抱きついた。


「なんだぁ、恭汰。……抱擁も久しぶりだな」


そう言う佐鳴の言葉に、彼ももうケンカの一件など気にしていないようだった。