桜が午前中で帰ったあと、玲から今日病院行くってお母さんのところに連絡が入った。
「玲君が来るなら私と翔太は帰ったほうがいいわね〜」
なんて意味ありげにいいながらまた明日来るわね!って言いながら翔太と帰って行った。
そしてしばらくして、玲が来てくれた。
「よぉ絵梨。体調どうだ?」
「…うん。今は大丈夫」
「そっか。それはよかった。実はな…絵梨にどうしても会いたいって言っている奴らがいてよ。病室、入れてもいいか?」
「……え?」
「実は病室の外まで来てるんだ」
私はゆっくりドアのほうに顔を向けた。
「入っていいぞ」
玲がそう言うと見慣れた顔の人たちがいっぱい病室に入ってきた。
「絵梨〜体調大丈夫?」
「もうお前がカナリア来てくれねぇとつまんねぇよ」
「辛かったら辛いって言ってよね〜」
「そうだよ!私たち、同じ不登校の経験をした者同士でしょ?」
「お前には暗い顔なんて似合わないしな!」
なんと病室に来てくれたのはカナリアに一緒に通っていた仲間。
裕香と海斗と花梨と莉愛と佑希だった。
私の頭はハテナマークでいっぱいだった。
「こいつらどうしても絵梨の様子知りたいって聞かなくてよ。秋先と相談して話すことにしたんだ」
「…そうだったんだぁ」
「玲ばっかり絵梨を独り占めしやがって!どんだけ俺らが絵梨を恋しく思ってたか分かってんのか〜」
「だってお前ら病院で大人しくできないだろ」
「何だと玲!俺らが子どもだって言いたいのか〜?」
「あれ?違うのか?」
「玲てめぇ…」
「…アハハ…」
玲と海斗の言い合い、久しぶりに見たな。
やっぱりこの賑やかな雰囲気…
カナリアらしいや…
「うん!絵梨はやっぱり笑顔が一番だよ!」
「そうだよ!笑ってなきゃ絵梨じゃないよ!」
「これからは、辛いときはいつでも言ってね!」
「俺たちが力になるからよ!」
「…みんな……ありがとう…」
私は本日二回目の涙を流した。
裕香も海斗も花梨も莉愛も佑希も、もちろん玲も…私の大切な友達だよ…?
来てくれて、ありがとう…

