それから数日。
今日は制服の採寸日で、お母さんが代わりに学校まで行ってくれた。
着れるか分からない制服を、お母さんは笑顔で楽しみだわ〜って言ってくれた。
私がまるでこれからもずっと生きていけるかのように…
でも最近はさすがに動くこともできないくらい関節痛が酷くて限界に近い…
病院内でも、車椅子生活だ。
もう家やカナリアに行けることがないのかと思うとちょっと寂しいけど、でも毎日お見舞いに来てくれる人がいるから、体はきついけど退屈ではなかった。
でも確かに希望を持つことは、大切だよね…?
今日は玲がお見舞いに来てくれている。
私は玲に聞いてみた。
「玲、制服どうだった?」
「意外とよかったよ」
「玲の制服姿見るの楽しみだな〜」
「俺もお前の制服姿楽しみだよ」
「…私、制服着れるかなぁ…」
「な〜に弱気なこと言ってんだよ。お母さんだって楽しみにしてるんだからちゃんと生きて入学式出ようぜ」
「うん!高校の制服オシャレだもんね!
楽しみだなぁ」
「そうだな。…あっ!見てみ?一番星が見える」
「…え?」
私はゆっくりと窓のほうに首を向けた。
すると夕焼けの空に一つだけ輝く一番星があった。
「一番星って夕日が落ちてから一番に見える星だから一番星って言うんだってよ」
「一番輝いているもんね」
「あぁ」
「ねぇ玲?」
「どうした?」
「人は死んだら星になるんだって。だから空には星が多いんだって」
「ふ〜ん。じゃあ俺も一つ教えてやる。
人の輝いている心も星なんだってよ」
「そっかぁ。だから星は輝いてるんだね」
「亡くなって昇った星と、人の輝いてる心の星だな」
…そっかぁ…なら…
「…玲…私、もし死んだら一番星になりたい。そして、玲を永遠に照らし続けたい」
「…え?」
「もし死ぬようなことがあっても、輝いていたい。ずっと輝いて、星になりたい」
「……何言ってんだバカ……絵梨は俺が死なせねぇよ」
玲…あなたはこのときも…
私の支えになってくれたね。
本当に嬉しかった。
今私の体は、いつそのときがきてもおかしくない状態らしい。
次に意識を失って倒れたりしたら、もう目を覚ますかどうか…
だから、今を大切に生きなきゃいけない。
「玲、カナリアのみんなは元気…?」
「あぁ、みんな元気にしてるよ。一応みんな高校の受験は合格だったって。まあ、相変わらず絵梨の心配はしていたけどな」
「そっかぁ。やっぱり心配かけちゃってるよね」
「…本当にみんなに言わなくていいのか?」
「…うん!みんなには、笑顔でカナリアを卒業してほしいからさ!」
そう。
カナリアと中学の卒業式は明後日だ。
本当はその場に行きたいけど、それはどうしても無理だから、カナリヤと中学の先生たちが病院まで来てくれて特別に卒業式をやってくれるらしい。
それも、お母さんと玲が頼んでくれたことだ。
私は感謝してもし足りないね…
あと三ヶ月と宣告されてからもう三ヶ月ちょっとが過ぎた。
せめて明後日までは、もってください…
私の身体…
お願いします…
ちゃんと卒業させてください…
そうしたら…好きにしていいから………

