しばらく経って、中学三年生の夏休みが終わった頃…


私の家族に異変がで始めた。


朝、仕事があるのにお父さんが起きてこない。


様子を見に行くと、体調が悪そうで仕事は休むと言っていた。


普段滅多に体調を崩すことがないお父さんだから余計に心配になったけど、病院に連れて行くってお母さんが言うから、私は心配しながらもカナリアに向かった。



カナリアから帰ると、リビングにお父さんはいなくて、和室で寝ているとのことだった。


そして私と弟はお母さんに呼ばれてリビングのイスに座った。


「お母さん、お父さんの病院どうだったの?」


弟の翔太がお母さんに聞いた。


かつては私がカナリアにも通っていなかった頃、私の体調が悪くて友達を家に呼ぶことができないから、私のことをずる休みとか言っていた翔太も、真剣な目つきだった。


そりゃあ、お父さんだもん。


心配だってするよね。


私もどうだったのか聞きたい。


そして、悲しそうな顔をしてお母さんは言った。








「お父さん、うつ病だって…」











「…え?…うつ病…?」


「会社で無理をし過ぎたみたいで心が病んでしまったようなの…」


「…そんな…」


「でも薬も出してもらったし、仕事はしばらく休んで心の療養をすれば大丈夫だって病院の先生は言っていたから、治るから大丈夫よ…」


お母さんは、泣いたのか少しだけ顔がやつれているように見えた。


「お母さんがしっかりお父さんを支えていればよかったのよね…。ごめんね、絵梨と翔太にも迷惑がかかるかもしれない」


「そんぐらい大丈夫だよ!」


翔太が答えた。


でも、思い返してみれば確かにここ最近お父さんはため息が多かった気がする。


仕事も大変なんだよね…


「お母さん、私と翔太で家の手伝いとかは頑張るから、お父さんの病気が治るまで、家族みんなで支えあっていこう?」


「…ありがとう絵梨…」


お母さんは涙を流した。


お父さんが仕事を休むってことは、お給料が入らないってことだよね。


そうしたらお母さんが大変になる。




私がお母さんを支えなきゃ!


私は心に決めた。