季節は冬。
12月25日。
世間はクリスマス一色で、賑わうカップルやら、プレゼントを待つ子供やらで街が騒がしくなる。
今日は俺にとっても特別な日。
別にクリスマスだからじゃない。
今日は、俺が……
要さんに引き取られた日だ。
予定を空けておけと言われたとおり、今日はバイトも休んだ。
今は、外で一人、要さんを待っている。
ふわりと雪が降る空を見上げながら。
俺が引き取られた三年前も、確か雪が降っていた。
この街に雪は積もらない。
降っては解け、降っては解けの繰り返し。
儚いけれど、俺は雪が好きだ。
「――涼、先に中に入れって言ったろ?」
息を弾ませた声に俺は空から視線を横へ移す。
どうやら走ってきたらしい要さんは、少し髪が乱れていた。


