同居人の男性と恋人です、なんて……
絶対言えないよなぁ。



「で、どうしたんだ?」
「うん、なんと言うか………うまく言えないんだけど、何か様子が変なんだよ。」
「様子が?」
「そう。らしくないって言うか……。ごめん、やっぱうまく言えないや。」


へぇ、と高島は俺の話に真剣に耳を傾けてくれる。


「でもいつも一緒にいる西條が変だって思うなら、やっぱり変なんじゃねーの?誰よりもお前が一番、その人のこと分かってるだろうし。」


誰よりも要さんのことを………。


確か以前、凪さんにそんな事を言ったような気がする。


でも、


「………うん。そうだと良いんだけどね。」


実際はそんなことなくて。


知っていることよりも、知らないことの方が多すぎるんだ。


「………そんなに大切な人なんだ?」
「え!?な、何で?」
「そういう顔してたから。」
「そういう顔?」
「本気でその人のこと考えてるって顔。」


俺、そんな顔してたんだ……。

高島にそんなこと言われるなんて……

正直、驚いた……。


「そんな驚くことか?」


高島が笑いながら俺の肩を叩いた。


「ほら、早く行かねーと講義始まるぜ。」
「うん。話聞いてくれて、ありがとな。」

気づけば俺達はキャンパス内に足を踏み入れていた。


学部の違う高島とは講義室が違うため、ここで別れる。


講義室へと向かう俺の背に、


「………いいな。」

なんて高島が呟いたことなど、俺は知る由もなかった。