嘘、偽りのない俺の言葉。

要さんに向ける気持ち。


要さんは少しの間俺を見つめ、それから顔を背けた。


「要さん?」
「……馬鹿だな。」


小さく呟かれた言葉は、嬉しそうな声音だった。


要さんがもう一度俺の方を向いたとき、その表情は恍惚としたものだった。



「そんなことは当たり前だ。」
「……え」
「お前が俺と一緒に居ることは当然なんだよ。逃げられると思うな。絶対に手放さない。例え……」



そこで要さんは口を止めた。


「要、さん?」
「例え、何を犠牲にするんだとしても。」
「それってどういう――」
「ただの例え話だ。」


それから強く腕を引かれ、唇を塞がれる。

呼吸さえまともに紡げない激しさに、頭がボーッとした。

「かな、めさ……んっ、ちょっと待っ」
「待たない。」


俺の抵抗など聞き入れてもらえず、意識が朦朧としていく。

落ちる直前聞いたのは、


「ありがとう。」


らしくない、要さんの言葉だった。