すぐにミネラルウォーターの入ったペットボトルを片手に要さんが戻ってきた。



「ほら」
「ありがとう。」



冷えた水が喉を潤す。



「腹は?」
「ちょっと空いたかな。」
「何が食いたい?」



そう訊いてきた要さんに、俺は呆けた。


「なんだ、その間抜け面は?」
「え、いや……要さんが作ってくれるわけ?」
「そうだって言ってんだろ。」


要さんは怪訝な顔をする。


ご飯を作るのは、いつも俺の仕事だ。



「本当にいいの?」


要さんは数秒俺を見て、いきなりぐしゃぐしゃと俺の頭を撫でた。


「!?」
「これでも無理させたって自覚はあるんだ。で、何がいい?」
「んと……シチュー!」
「………またか。」
「だって好きだし。」



にんまりと笑い答えれば、分かったと要さんは部屋を出ていった。



撫でられた頭が温かくて、俺はちょっと笑った。