少し歩いて櫻井さんは一軒の店に入った。
俺は中に入って首を傾げる。
中は流行のファッションがずらっと並んでいた。
来ることのない風景に俺は言葉を失っていた。
「何突っ立ってるんだ?早く来い。」
櫻井さんは店の奥に足を進めていく。
「あの、服買うんですか?」
「まぁな。」
服を買うぐらいなら、わざわざ俺を連れてこなくても……。
なんて思ってる間に櫻井さんは何着かの服を手に取り、俺に差し出してきた。
「?」
「早く着てこい。」
「え…俺がですか?」
「当たり前だろう。俺にこのサイズは無理だ。」
確かに櫻井さんが着るには少し小さい。
「でも…」
「時間がないんだ。早く着てこい。」
半ば無理やり櫻井さんによって試着室へ。
な、何なんだよ……。
何で俺が……。
仕方なく渡された服に腕を通す。
高そうな服……
「着替えたか?」
外からの声にカーテンを開く。
「こんな感じですけど」
「なかなか似合ってるな。よし行くぞ。」
「え、ちょっ、待ってください。まだ着替えてなーー」
「それを着ていけ。もうお前の物だ。」
櫻井さんに手を引かれ、早々に店を出た。
「俺の物って…」
「俺からのプレゼントだ。」
「プレゼント…」
「今日はクリスマスだからな。」


