「こんな所で会えるなんて嬉しいなぁ。」
「は、はぁ……すみません。俺はこれで」
「あれ?飲み物は?」
「あー…すごい人なんで止めておきます。それじゃあ」
笑って立ち去ろうとしたら、腕を捕まれ失敗してしまった。
「ちょっと付き合って。」
「え、いや困ります。要さんが待ってるんで」
「まぁまぁ堅いこと言わないで。ね?」
「いや、ね?じゃなくて――って、ちょっ…」
凪さんは問答無用で俺の手を引っ張っていく。
「ちょっと、離してください。」
「まぁまぁ。」
全然人の話聞いてないし!
こういうとこ要さんとそっくりだな、なんて思ってる間に凪さんは足を止めた。
「これって……観覧車ですけど。」
「うん。一緒に乗ろ!」
「え、困りますって。」
俺の抗議など無視して凪さんは俺の手を引いたまま、観覧車に乗り込んでしまった。
無情にもドアが締められ観覧車は上へと向かっていく。
「ほらほら諦めて座りなよ。」
凪さんは相変わらず笑顔で、俺はため息をついて向かいに腰を下ろした。


