「ヤバい!すっごい楽しい!!」


とジェットコースターを乗り終えた俺は少々興奮気味だったり。


「ね!要さん」


と後ろの要さんを振り返れば、カシャッと音が鳴った。



「なっ……」


見れば要さんの手には愛用のカメラ。



「今撮った?」
「ああ。」


と要さんは満足げに写真の出来映えを確認している。


「何でそんなの持ってきてんだよ……」
「プロはいつでも仕事道具を持ち歩くもんなんだよ。それに今日はこれが目的で来たんだ。」



笑む要さんに対し、俺は疑問符だらけ。


デートとか言っておいて、実は仕事だったのかな?



「お前との思い出作りが今日の目的だ。」



カシャッとまた要さんが俺を撮る。



「ちょっ…そんなに撮らないで」
「過去を消すことは出来ないが、」
「ぇ……」
「この先過去を思い出す時、今というこの時間で塗り替えることは出来る。今お前を支配しているものより、俺との時間を思い出せばいい。お前を支配していいのは、俺だけなんだから。」



少し偉そうな物言いと笑顔に、俺は笑って頷いた。



「ほら、次は何乗る?」



歩き出した要さんの背中に、



「……ありがとう」




と小さく呟いて、その背を追った。