「もう知っただろ?」
要さんが俺を抱きしめたまま言う。
「ぇ……」
「愛が何なのか、お前はもう知っているはずだ。俺が愛してやっているんだからな。光栄に思えよ。」
最後の言葉が何とも要さんらしくて、俺は思わず吹き出した。
「…なに笑ってんだ。」
「ごめ、何か要さんだなって。」
「ったく……落ち着いたか?」
「うん。」
「なら、さっさとシャワー浴びて出て来い。ホットココアでも淹れてやる。」
そう言って要さんは浴室から出て行った。
不思議だな。
さっきまで怖くて、不安で、冷たかったのに。
今は凄く温かい。
あ、そっか。
これが、愛されるって事か。


