きゅっと音がしてシャワーの湯が止まった。


俺は驚いて振り返る。


そこには当然要さんが居て、真っ直ぐ俺を見ていた。



「あ……ごめん。気付かなかった。もしかして呼んだ?」



入ってきたことにさえ気付けなかったのだから、呼ばれていても気付けていなかったのだろう。



「……またそんな顔するのか?」



要さんは俺を見たまま、そう言った。



「え、俺いつも通りだけど……」
「涼、よく聞け。俺は何度も同じことを言うのは好きじゃない。また言わせる気か?」



要さんは俺の高さまで目線を下げ、顔を近づける。



「お前はまた…人形にでも戻るつもりか?」
「別にそんなつもりは……」




どうしてだろうか。

真っ直ぐ向けられる要さんの目が見れない。


自然と視線が下がる。



「涼、俺を見ろ。」


ぐいっと顎を捕まれる。



「何がそんなに怖い?」



途端に要さんが微笑むもんだから、俺は思わず涙をこぼした。