俺には両親の記憶がない。


気がつけば施設に入れられていて、ずっとそこで育った。


高校を卒業したら働いて、施設を出て、一人きりで暮らしていくんだと思ってた。



でも、高1の冬。



俺は、引き取られた。


俺を引き取った人の名は、櫻井 要と言った。









―――――ベッドに身体が沈む。


要さんが上から覆い被さる。



最初は触れるだけのキスから。


要さん曰く、相手への礼儀らしい。



「涼、また眉間に皺が寄ってるぜ。」



ククッと要さんは喉で笑う。



「恥ずかしいんだから、しょうがない………」
「ったく、いつになったら慣れるんだろうな。まぁ、可愛いけど。」