『第四章 わがまま男子とわがまま男子?』



「………ん」


朝、人の声がして目が覚めた。

要さん?
珍しいな……
いつもは俺より起きるのが遅いのに。


手を伸ばして時計を取れば、針は九時を指していた。



休日の今日は普段なら十時までは寝ているはず。



俺は瞼を擦りながら、部屋から出る。


そうしたらさっきまで何を言っているのか分からなかった声も、鮮明に聞こえるようになる。


「お前を泊める気はない。さっさと帰れ。」


声は玄関の方から。


どうやら誰かと言い合っているようだった。



「そんな冷てーこと言うなよ。頼れるのは要しか居ないんだって」



要さんのことを呼び捨てにする人なんて珍しい…。
親しい間柄なんだろうか?


疑問に思いながら、俺は玄関をのぞき込む。


「要さん?お客様?」
「涼……起こしたか。何でもないから部屋行ってろ。」



要さんは眉間に皺を寄せ、俺に振り返った。


俺は要さんの後ろに視線を流す。


そこには、


「――え!?」
「あ、君が涼くん?うっわぁ、可愛いなぁ!」



要さんと同じ顔をした一人の男性がいた。