「大丈夫だ」

谷口が豊田の肩を叩く。

「まだ半年程度しか世話になっていないが、小川分隊長は部下を見捨てるような人じゃないと俺は見ている。あの人は立派な戦術自衛隊員だ…三等陸曹に、分隊長に相応しい実力と人格を備えている…必ず明日には捜索隊を編成して、救助に来てくれる」

「…そう…そうよね…」

疲弊した顔を上げ、笑顔を見せる豊田。

「それに」

再び谷口は火に枯れ枝をくべた。

「俺もサバイバルに関しては訓練を一通り受けている。幾ら89式多用途銃剣一本になったとしても、何としても生き延びるだけの技術と精神は培っているつもりだ…食糧だって蛇ばかりじゃない。魚や食える植物くらいの見分けはつく」

「そうね…山にいる間、毎回蛇ばかりじゃ参っちゃうわ」

谷口の言葉に、豊田はクスッと笑う。