完全に日は沈んでいた。

暖をとる為、野生動物の接近を避ける為に焚いていた火の明かりが、谷口と豊田を照らす。

「…小川分隊長達…救助に来てくれるかしら…」

無言に徹していた豊田が、不安そうに呟く。

「…夜明けまでは無理だろうな。夜間の捜索は危険を伴う…カマドウマ達が徘徊している山中では尚の事だ」

火を絶やす訳にはいかない。

枯れ枝や枯れ草を火の中にくべながら谷口が言った。